医療×ブロックチェーン② クローズド or パブリック?

Pocket

ここまでで合意済み部分のまとめは終わり。以降、合意されていない部分について見ていく
1)クローズド or パブリック?
2)どのコンセンサスアルゴリズムを用いるか?
 
先ほど医療系ICOではPoWを採用していないと述べたが、それではどのようなコンセンサスアルゴリズムを採用しているのか?という話になる。
ここから先は面白く個々のプレイヤーで異なっているので、各々見ていく。これに関しては、ブロックチェーンとしてパブリック型、クローズド型のどちらを採用するのかも関わってくる。
 
まず、ブロックチェーンにはパブリック型とプライベート型(パーミッション型・コンソーシアム型・クローズド型とも言われる。厳密にはプライベート型は単一の機関が管理し、コンソーシアムは複数の機関が管理する点で異なるのだがここでは同じ者として扱う)の2種類が合って(知らなかった)それぞれの特徴は下記
 
  プライベート型 パブリック型
管理者 単独の機関 or 複数の管理団体 存在しない
ノード参加者 管理者による許可制

制限なし

 

合意形成 厳格ではないことが可能 厳格であることが必要(PoW, PoSなど)
取引速度 高速
(数千、数万取引/秒の処理が可能)
低速
(高速なものも出てきてはいるが、現段階では秒間数千程度がmax(EOSアルゴリズムが3000取引/秒を突破))
取引手数料 安い
(高いハッシュパワーを持った信頼できる少数のノードによって取引が検証されるので、その分取引にかかる手数料が安くなる)
高い
(信頼できない多数のノードによって取引が検証、承認されるので、正しいトランザクションの合意形成を得るためにコストがかかり手数料が高くなる)
運営コストの捻出方法 方法はなんでも良いが、プライベート型に参加している機関が費用負担するのが現実的か ブロックチェーンを動かすことで享受できると考える人たちによる資金提供(マイニングはその方法の一部であり必須ではない。他のコンセンサスアルゴリズムもあるので)
→いずれにしてもネットワーク参加者への経済的インセンティブ設計が重要
メリット 1)管理者の意向で機能の追加や改修が容易に可能  
デメリット

1)ネットワーク内でのみ有効な仮想通貨しか作ることができない

2)検閲耐性や透明性、データの永続性が比較的低い

1)機能の追加や改修が容易ではない
(参加ノードの半数以上が同意する必要あり)

2)プライバシー問題
取引履歴が全世界に公開されているため、秘密情報を扱うのが難しく、アドレスが誰のものなのか特定されると個人を特定できてしまう。医療情報はオフチェーンで別途管理したとしてもどの患者がどの病院にいったレベルのことは特定できてしまう可能性あり

 
 

あと、ブロックチェーンをスケーリング(多数の人に参加してもらう)する上で避けては通れない「分散化と取引処理速度のトレードオフ問題」についても触れておく。

分散化と取引処理速度のトレードオフ問題
ノード数(ネットワーク参加者)が増加すると、低スペックなノード数(ネットワーク参加者が持つPCのうち低スペックなものの数)も多くなり、取引の検証、伝搬のプロセスに時間がかかる。つまり取引処理速度が遅れるというトレードオフ問題が発生する。
 

先ほどのプライベート型、パブリック型を医療版に焼き直すと下記

 
医療版 プライベート型 パブリック型
医療データ管理方法
複数の病院のみが参加して患者のデータ管理を行う
病院だけではなく、患者も医療データの取引を管理
メリット
患者データの取引に合意するために必要な人数が少数(病院の決済権限を持つ人たちのみ)であるため、素早い取引処理が可能
 
サービスの機能追加や修正も少数の合意で進むため容易
患者さんも任意に患者情報取引に参加できるため、医療情報を患者が主体となって管理するというPHR構想に合致
デメリット
患者が患者情報取引のネットワークに参加するわけではない(厳密には病院が承認した患者さんは可能だが)ので、患者が主体となって管理するという元来のPHR構想からずれてしまう
 
→これだと今のカルテ請求と仕組みは同じで、病院は患者情報にアクセスできるが、患者は自分の医療情報を見たいときは、病院に「見たいです」と要求して、病院が主体となって患者情報を患者に渡す。その過程が、今までは口頭+紙でカルテを渡す→これからは電子的にリクエスト→データでスマホに届くなどとなるのみ
取引処理が加速度的に遅くなる(患者データを承認して追加するという作業が著しく遅くなる)
 
→取引コストに見合うだけのインセンティブ設計がより重要になる+取引速度が遅いと実運用に絶えない(処理されない患者医療情報(検査結果・治療内容など)がどんどん溜まってしまう)

次は、どの合意形成アルゴリズムを採用するか問題について

 

Pocket