伊藤国際教育交流財団

大学院奨学金のうち、〆切(8/25)が早い「伊藤国際教育交流財団日本人奨学金」の記載要項をリサーチしたところ、なんと計8枚程度の書類を全部手書きという鬼畜ぶりが発覚!

しかも、「留学先での研究テーマ」を英語で1500-2000字で記載と書かれており、英語の1500字はヤバイなと思いつつ、でも出来るだけ多くの奨学金に応募した方がいいのでとりかかる。

まずは、パソコンで下書きをするために、各々の必要な記載項目を列挙し、隣に必要と思われる行数(与えられた記載枠から大体の行数を逆算)も記載すると以下の様になった。

  • 当奨学金を知ったきっかけ(8行)
  • 研究テーマの概要(12行)
  • 研究テーマ(30行)
  • そのテーマを選ぶに至った動悸や経緯
  • 研究に留学が必要である理由
  • 第一志望の大学院を選んだ理由
  • 研究テーマの、社会や当該学問領域における重要性(20行)
  • 修士課程修了後から将来の計画を具体的に(20行)
  • 当財団の設立趣旨を踏まえ、奨学生となるにあたっての抱負、決意(20行)
  • ご自身の性格(長所、短所)(20行)
  • アピールポイント自由に(20行)

なかなかのボリュームである。とりあえずの下書きをざざっと下記のように記載した。大体の内容は頭のなかに会ったので計3,4h程度ですんだ。「当財団の設立趣旨を踏まえ、奨学生となるにあたっての抱負、決意」に関しては、伊藤財団のHPを見て求められる奨学生像を推定して記載

さて、今度はこれらを全て手書きで記載しないといけない。かなりの労力になりそう。

当奨学金を知ったきっかけ(8行)
  大学時代の友人で、日本の財団の奨学金を獲得し現在PhD課程に留学中の方から、海外留学の際の日本の有名な奨学金を教えていただいた。その1つに貴財団奨学金があり、貴財団を知った。

研究テーマの概要(12行)
  現在の医療では、集団平均の推奨治療法は示されているが、個々の患者に最適な治療法や各治療法の予後、病気の各素因の寄与度などは未解明である。そのため個別化医療は実現できておらず、患者に最良の医療は施されていない。そこで、私は留学先で、個々の患者の診断、治療、合併症予測に最適な統計モデル構築に関する研究を行う。具体的には、最適な統計予測モデルに必要な、臨床専門家の手動構築部位の程度を決定するために、アメリカ糖尿病協会の糖尿病患者のデータを用いて数種類の統計モデルを作成し、比較検討する。モデル構築には、因果関係を確率で記述するグラフィカルモデルの機会学習法である「因果ベイジアンネットワーク」を使用する。また、医療従事者にとって使いやすい、統計モデル結果表示のインターフェイスを構築し、実臨床での応用まで結びつける。

研究テーマ(30行)
  現状では、医師は患者に直面した時、UpToDateやPubMedといった医学論文キュレーションサイトに自らアクセスし、ランダム化比較試験(RCT:randomized control trial)で妥当とされた治療法を探し続ける。但しRCTでは数万人規模の研究による平均化された推奨治療法を示唆するのみで、目の前の患者への外的妥当性がない(人種差、年齢、既往歴などにより)ケースが多い。私自身、医学部卒業後、医師として勤務する中で、エビデンスレベルで目の前の患者に最善な治療は施行できていないのではないかと頭を悩ませる機会が少なくなかった。
 一方で元々プログラミングやデータ解析には興味があり、近年のビッグデータ解析や機械学習の進歩に伴い、対象疾患の全例解析を行うことで、医師も未だに認識していない病気の素因や、素因同士の関係性を発見できることを知った。個別化医療や、治療方針の決定、予後予測に役立つことも示唆されていた。
 そこで、私はデータ解析の手法を学び活用することで個々の患者に最善の医療を提供したいと思い、アメリカへの研究留学を決心した。アメリカで研究留学する理由として、日本では未だ医療データの統合が進んでいない点、機会学習法やビッグデータ解析を体系的に教える教育が進んでいない点が挙げられる。日本では、医者や研究者、民間企業によりいくつかの医療データベース(DB)が存在するが、全疾病の網羅性や規模の点で発展途上段階であり、政府主導のナショナルデータベースも存在しない。一方、アメリカでは1,990年代から既にDB構築に取り組んでおり、医療DBの構築主体や手法が最も多彩に発展している。その点で医療DB解析を行うには米国が有用だと考える。また、日本では統計学専門の大学院が近年開講されたばかりで、データ解析の教育は米国に遅れているため留学が必要だと考える。 
 第一志望はスタンフォード大学である。理由は自分の興味と親和性の高い研究室の存在と、講義内容、立地の3点である。スタンフォード大学のWong教授は、ビッグデータ解析や機械学習の情報生命科学や個別化医療への適応に関する研究を行っており、自分の興味と親和性が高い。また当大学では一般的な機械学習やデータ解析のコースに加えて、各領域に特化したコースが用意されている点が魅力的である。特にData Driven Medicineや社会情報ネットワーク分析のコースに興味がある。さらに、私はベンチャーや新規事業の立ち上げにも興味があり、当大学がシリコンバレーに近く産学連携が非常に進んでいる点も惹かれる要素である。

研究テーマの、社会や当該学問領域における重要性(20行)
  個々の患者の特性に応じた最善の治療を提供することは医療の究極的な目的の1つといっても過言ではない。医療DBの構築や、ゲノム解析など、個別性の高い予防の提供に向けての動きが進み始めている点も個別化医療の重要性を裏付けている。将来的には、現在の病歴や検査結果といった臨床データに加えて、患者の性別、年齢、既往症の有無、服薬頻度、職業、家族関係などまでが網羅された医療DBの構築が進むと考えられる。その際に、今回の研究で得られる解析手法を行うことで「60歳、女性、体重、血圧、糖尿病、既往歴:十二指腸潰瘍」などの患者情報を入力すれば、同じ条件を持つ患者を一覧表示・解析し、各疾患になる確率や手術後のその患者の予後などを即座に表示できるシステムにまで応用したい。そうすることで患者・医師の双方にとって最適な治療法を選択するために有意義な情報となると考えられる。

修士課程修了後から将来の計画を具体的に(20行)
  私の最終的な目標は、個々の患者が自分の医療情報が内蔵されたデバイスを持ち、いつどこからでもその情報にアクセスできる社会を創ることである。日々の食生活や運動の情報、受診時の診断などを自動的に収集、解析し、現在の健康状態を個々人に伝えてくれる社会を創りたいと考えている。
 その目標のために自分が修士終了後に進みたい道はいくつかある。1つ目はPhDに進み研究を続けること。Stanford大学のWong教授は、「ビッグデータ解析や機械学習の情報生命科学や個別化医療への適応に関する研究」を、またMITのSzolovits教授は「医療分野の意思決定における人工知能の活用に関する研究」を行っており非常に興味がある。2つ目はGoogleやAppleなど、ITに優れていてかつ、糖尿病血糖値計測用コンタクトレンズの開発やIBMと連携した医療データの分析など、近年医療分野に力を入れている企業に就職し、医療分野の新規企画開発や医療データの解析を行うことである。周囲に優秀な人材が多く、かつ、ヘルスケアデータを大規模に収集し蓄積している点が魅力的である。3つ目は、日本に戻り医療分野のデータ解析に携わる職種につくか、そのような企業がなければ自ら起業することを考えている。上記3つの選択肢のうちどの道に進むかは、修士課程中にアメリカの医療分野の研究ならびに企業の取り組みを見てから決定したい。

当財団の設立趣旨を踏まえ、奨学生となるにあたっての抱負、決意(20行)
  当財団の設立趣旨から求められる奨学生像は、世界的見地に立って学術研究や社会奉仕に努め、世の中を救う新しい仕組みを考えだす青年であると考える。
 上記の趣旨を持つ財団から奨学金を授かるからには、国内のみならず海外にも幅広く視野を持ち、自分の能力を学術研究で存分に発揮して周囲の多くの人に成果を還元したいと思う。具体的には、自分は現在医療のバックグラウンドがあるので、さらにデータ解析の学術研究を行うことで、新たな個別化医療の仕組みを世の全ての人に提供したい。またシステムを構築できたとしても開発途上国などまだ医療の基盤やDB構築が整っていない地域では導入できない可能性も考えられる。そのような場合には、問題点に積極的に介入し、より柔軟な形で個別化医療を導入し、より多くの人に自分の現在の健康状態を知っていただきたいと思う。留学先では、日本の代表、また伊藤財団の奨学生として恥じぬよう学術研究の研鑽を続け、他の修士生と切磋琢磨していく所存である。

ご自身の性格(長所、短所)(20行)
  自分の長所は、目標思考、忍耐強さ、社交性の3点である。目標思考に関しては、大学半ばからは、5年後のなりたい姿をイメージして、そのために必要な今やるべきことを逆算し実行可能なレベルまで細分化し、習慣化してきた。学部時代に恩師から「人生は引き算と掛け算(医師として1人前になるのを30歳、退職する歳を65歳として65-30=35年×12=420ヶ月)であり、月ベースで計算すると人生はとても短い。その期間に世の中に作品を残すことを考えて逆算して人生設計せよ」という言葉を受けたことが転帰である。忍耐に関しては、学部生時代に脳機能に関する研究を3年間行い、研究成功の最大の要素は忍耐力であることを痛感し実践してきた。数ヶ月の検証の末、仮説が間違っており、再度始めから仮設を構築しなければならないこともあったが、最終的には形になるまでまとめた。また社交性に関しては、私は好奇心旺盛で、自分とは異なる価値観や経験を持つ人のことを積極的に知りたいし、また他の人と一緒に1人では出来ない大きなのはプロジェクトを行うことは好きである。
 一方で短所は、興味の有無がはっきりしすぎている点である。興味のある分野に関しては時間を忘れるほどのめり込むが、興味のない分野は手を付けようとしない点が課題である。最近は周りから進められたことは進めてくれた人と一緒に体験することで対処している。

アピールポイント自由に(20行)
  医療のバックグラウンドを持ち、かつプログラミングのスキルを有する点が私の一番の強みである。今後はヘルスケア分野のデータ解析において、医療のバックグラウンドを持ち、かつデータの扱いにも長けた人材が必要とされているが、そのような人材は少なくとも今の日本には殆どいない。私は学部生の時に、友人と医療系学生向けの医療系情報サービスをリリースするためにプログラミングを勉強し始めた。その後は、独学でプログラミング言語(C++, Objective-C, PHP, JavaScropt, Rubyなど)を習得し、iPhoneアプリを開発したり、
Bluetoothで服薬ケースとスマートフォンを連携する服薬管理サービス(flixy)をリリースしたりした。また統計に関しては、Rや機械学習を独習し、健康保険データを解析する会社でインターンを行った。データ解析分野の大学院生の殆どが情報工学の出身であり、経済学の出身もみられたりするが、医学の出身は殆どいない。その点で、研究留学先で大学院生ならびに教員に新たな視点(特に医療分野におけるデータの扱いや医療現場での問題点)を提供できると思う。