「革命のファンファーレ」by 西野 亮廣
絵本「えんとつ町のプペル」をタイミングまで吟味して広報していった緻密な戦略と実行力が素晴らしい。下手な理論のみやフレームワークのみに終始しているマーケティング本よりはよっぽど価値がある。特にクラウドファンディングでの支援者と金の集め方について実例を交えて詳しく述べており、説得力があった。若干主張に繰り返しが多い点はあったが。
クラウドファンディングやりたい方は、西野さんのプロジェクトを参考にすると良いかも
https://camp-fire.jp/profile/nishino/type:project
「本のインターネットでの無料公開」や、「前もって個人で自分の本を1万冊買う」などの行動の裏には緻密な広告戦略があったことを知り、事前の戦略の重要性を再確認した。
あと、これはビジネスでは当たり前であるがなかなか実行できない
- 顧客は誰か?
- 顧客はどのような課題を抱えているか?
- 顧客はどのようなタイミングでお金を払うのか?
に関しても、絵本の例で、子持ちの母親の行動を読者になるほどなと思わせる程度にまで深く分析している。
「ビジネス書でも無料公開の出し場所を散らせば売上が伸びる」という視点は新しかった。無料公開しても出し場所を散らした場合、「各々の章の情報を回収するコスト>本を買うコスト」なので、ビジネス書ですら無料公開した方が売上が上がるという理論。なるほどなぁ。考えもしなかったが、いつも我々は常識の囚われていることを思い知らされた。
すでにいわゆる常識となっているものや習慣化された行動は、それが当たり前になっており何も疑問に思わないことが多い。ただし、その常識もその時代時代で作られてきた一般的な価値観でしかなく絶対ではないので、いかに常識を疑えるか、そもそも論から考えるかが大事。分かってはいてもそれが難しいんだよなぁ。みんな、常識を疑うことに対してどのような取り組みをされているのかは気になる。
「革命のファンファーレ」という、意表を突き、興味を抱かせるタイトルもいい。堀江さんの「多動力」もしかり、タイトルで新しい興味を引きそうな造語を生み出しているのもいい
他に印象に残ったワンフレーズを記載
「感情は環境に支配される」
これも正鵠を得ている。自分の意思を明確にするためには、意思を明確にできる環境を作っておく必要がありそのための準備をすることが重要だという主張。
「一歩踏み出すために必要なのは、勇気ではなく情報である」
人が新しい行動をおこせないのは、その先に何が待っているかの情報が不足しているから。勇気ではなく。なので、不確実性を取っ払うために情報収集をせよとのこと。これは、一理ある。周りの目が気になってという理由もあるとは思うが。
「アンチを手放さない」
議論ほどコスパの良い宣伝手法はないので、後ろめたいことを1ミリもしていなければ、反対派のエネルギーを使わない手はないという主張。
「商品は、体験に紐づければ確実に売れる」
わたくしたちは「モノ」にはお金を出さないが、お土産などの「思い出」にはお金を出す。
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